コーヒーを毎日欠かさず飲むことで、花粉症をはじめとするアレルギー性疾患を緩和できるかもしれないです。
この研究を手がけたのは、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)炎症薬物学研究室の准教授、杉本幸雄さんです。
 杉本さんは岡山大学薬学部を卒業後、大手製薬企業に入社。リウマチの研究に6年間携わった。
そのあと岡山大学薬学部に戻り、アレルギーやリウマチなどの炎症性疾患を研究している。
花粉症が起こるメカニズムは広く知られているはずなので詳細は割愛しますが、簡単にいうと吸い込んだ花粉を体内の細胞が「異物」と認識し、
それを排除するためにできたlgE抗体が肥満細胞に結合してヒスタミンやロイコトリエン、プロスタグランジンなどの化学伝達物質を放出。
これらの物質が血管や末梢神経を刺激して、くしゃみや目・鼻のかゆみなどの症状を引き起こします。
ところが、コーヒーを毎日飲むことで花粉症をはじめとするアレルギー性疾患を緩和する効果があるかもしれないそうです。
アレルギーと言えば、花粉症以外にも「ダニ」に由来する「気管支ぜんそくや鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎などがあります。
これらのアレルギー性疾患のうち、小児ぜんそくの90%、成人のぜんそくの50%以上はチリダニ類が原因といわれています」
困るのは、人間にとって快適な生活空間はダニにとっても暮らしやすいという点で、「25℃くらいがいちばんダニが活動しやすい温度です。
また湿度は75%前後が活発です。注意しなければならないのは空気の湿度ではなく、畳やじゅうたん、ふとんなどダニの『すみか』の湿度が問題だという点です」
ダニは、人間や犬・猫のフケやアカが大好物なので、じゅうたんを敷かずにこまめに掃除することが予防につながる。
このほか「食物アレルギー」にも注意したいですね。
卵や牛乳、小麦は三大アレルゲンとして知られていますが、大豆や魚類、肉類、甲殻類、野菜、果物などもアレルギーの原因となります。
恐ろしいのは、食べものやハチの毒、薬物などが原因で起きる「アナフィラキシー」で、これは急性アレルギー反応の一つで、呼吸困難やめまい、意識障害などの症状を伴う。命を落とすような危険な状態になることもあります。
 杉本さんが今回取り組んだ「コーヒー成分の抗アレルギー作用に関する基礎的研究」は、コーヒーが含むポリフェノールの一種「クロロゲン酸」に着目したもので、マウスを用いて調べた実験である。
「コーヒーは、疫学的研究によってさまざまな健康効果があるといわれています。しかし、コーヒー成分がもつ抗アレルギー作用についてはまだあまり調べられていません。
そこでコーヒーに含まれているクロロゲン酸を調べてみようと思ったのです」
クロロゲン酸は水に溶けやすいし、マウスは必ず水を飲む。
そのため、マウスにはクロロゲン酸を0.03%、0.1%、0.3%混ぜた濃度の異なる水溶液を与えて、その経過を見ていった。
実験モデルは大きく分けて2つある。
①アレルギー性鼻炎モデルと②アレルギー性皮膚疾患モデルのマウスを人工的に作り実験しました。
そのマウスに、14日間、または28日間にわたり、クロロゲン酸水溶液を自由に摂取させることで、アレルギー症状が軽減されるかどうかを見ます。
結果
①「アレルギー性鼻炎モデルには効果があったと言ってよいでしょう。
実は、これとは別に1回だけクロロゲン酸含有水を与える『単回投与』も試みましたが、差は出ませんでした。
つまり、最低でも2週間はクロロゲン酸含有水を与えつづけないと効果は現れないようです」
アレルギー性鼻炎のマウスがクロロゲン酸を含む水を継続的に飲むことで、くしゃみも鼻掻きもその回数が抑えられるという結果でした。
②「鼻炎モデルについては期待以上の好結果でした。クロロゲン酸含有水を14日間以上飲ませることで、有意な抑制作用を示しましたから。
また、皮膚炎モデルについては予想の範囲内です。
今回の実験を終えて、杉本さんのなかでは「クロロゲン酸だけじゃないのかもしれない」との考えが湧いてきたという。
「期待以上の好結果と言いましたが、実はクロロゲン酸以外も含めてコーヒーそのものがアレルギー性疾患の抑制に効くのかもしれません

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