先日も米ロサンゼルスの裁判所がスターバックスコーヒーなど大手コーヒーチェーンに対し、発がん性成分が含まれているとの警告を表示すべきとの判断を下しましたが、訴訟大国アメリカでは、コーヒーにまつわるこんな訴訟もありました。
■マクドナルド・コーヒー事件
日本でも有名なアメリカの懲罰的損害賠償の裁判例としてマクドナルド事件があります。
1992年にマクドナルドのドライブスルーで熱々のコーヒーを買い、車の中で膝の上にカップを載せて飲もうとしたら溢してしまい、孫が火傷で皮膚移植手術の入院と2年間の通院をしたという事件です。
裁判では、マクドナルドのコーヒー売上高2日間分に相当する270万ドル(約3億円)を懲罰的損害賠償額として認める評決がいったん下され、日本でもコーヒーを溢しただけで3億円と話題になりました。
最近では、スターバックスのアイスコーヒーなどは、氷の量が多すぎる――。
先日、このような理由でアメリカ・シカゴの女性がスタバを相手に訴訟を起こしたことが報じられ、大きな話題となった。
この女性は、スタバの冷たい飲み物について、カップの容量でサイズを表示しているが、実際に提供される分量は表示より少なく、それが「顧客を欺く行為」として、500万ドル(約5億3000万円)の損害賠償を求めているという。
現在、企業の商品が「HOT」「火傷注意」などと過剰とも思える注意書きで溢れているのは、自己防衛のためです。
アメリカで日本ではあり得ないような金額の賠償金が請求されることの背景に、日本とは異なる懲罰的損害賠償制度を認めていること、民事陪審(裁判員裁判の民事訴訟版)が採用されていること、の2点があります。
懲罰的損害賠償は、簡単にいうとある不法行為(事故)によって実際に生じた具体的損害(治療費・交通費等)に加えて懲罰の趣旨で、賠償金を加算することを認めるものです。
イメージとしては、日本なら刑事手続で国庫に払われる罰金を民事で認めて被害者に払う、というものです。
日本でも大企業は、こういう問題が起きないように同様な自己防衛策が当たり前になってきています。
日本の場合、賠償金より企業イメージの防衛だと思いますが、企業も大変ですね!