「コーヒー摂取はメタボリック症候群と負の関連性(改善効果)がある」という論文が2007年に発表された。これは栄養士と組んで詳細な栄養調査を行い解析したもので、そのなかでコーヒーに着目したのは、「代謝異常の塊」とも言われるメタボリック症候群にあった。
「代謝異常の根底にあるのは内臓に溜まった脂肪です。わかりやすく言うと『脂肪肝』の存在があります。脂肪肝にはサイトカインという物質がありまして、これが人体に悪い影響を及ぼすといわれています」
そこでコーヒーと緑茶がメタボリック症候群に及ぼす関係を探ったのだ。
図1を見てほしい。これは解析した、コーヒーと緑茶のそれぞれの飲用量(1日あたり)とメタボリック症候群のコンポーネント数の関係を表したもの。縦軸はコーヒーと緑茶の飲用量(ml)、横軸がメタボリック症候群のコンポーネント数である。
コンポーネント数とは、高血圧や糖尿病を1と数え、これらが複合している場合は2となり、ウエスト径が大きい、高血圧で脂質異常があり、糖尿病などを併発している人を3以上ととらえたもの。0とはメタボリック症候群の兆しが見られない人のこと。
結果は、緑茶が飲用量とコンポーネント数に関係性が見られないのに対して、コーヒーは毎日多く飲んでいる人ほどメタボリック症候群のコンポーネント数が少ないことがわかった。つまりコンポーネント数が「0」の人を頂点に、コンポーネント数が多くなるにつれてコーヒーの飲用量は少なくなる。
「当時は飲用量をコーヒーのカップ数で分けている論文が多かったのですが、私たちは飲用量をmlとして聞き取り調査をしましたが、きれいに結果が出ました。いろいろな項目で補正しても、この傾向は変わりませんでした」
コーヒーを飲むことがメタボリック症候群を改善に向かわせる理由について、「あくまでも仮説ですが、コーヒーに多く含まれるカテキンの作用が考えられます」
カテキンといえば緑茶にも多く含まれているイメージがあるが、それは玉露など高級なお茶のことで、実は普段飲む煎茶や番茶にはカテキンはあまり入っていないそうだ。
「コーヒーは、そのもとになっているクロロゲン酸が豊富です。」