コーヒーの風味は実に奥の深いものですが、飲料としてコーヒーの風味を考えると、大変遅れているというのが現状です。ソムリエというお客様に美味しいワインを勧める職業のワイン業界を頂点に、お茶など風味表現が確立されています。しかしコーヒーは最近まで輸出国で行われる欠点を主体とした評価が全てで、コーヒーの美味しさや素晴らしさを評価する、嗜好品として風味を楽しむという点が明らかに欠如していました。

1970年代の米国では、水代わりの薄くて不味いコーヒーが主体で、若者を中心にコーヒー離れが進んでいました。その状況下で業界が取り組んだことは、美味しいコーヒーを提供すること、若者受けする冷たくて甘いコーヒー飲料を提供することでした。スターバックスを中心にこの動きが加速、今や米国のコーヒーは美味しいコーヒーに変わってしまいました。また同時期にコーヒーの風味表現方法にワインのものを適用し、風味用語を構築する動きが進行し、 SCAA(米国スペシャルティコーヒー協会)ではフレーバーホイールという風味用語を体系化したものが確立され、現場でのコーヒーの風味を伝えるツールとして活用され、コーヒーの嗜好品としての価値を高めることに貢献しています。またコーヒーの品評会では、この風味表現やそれを基に点数化することで順位を競うことが行われています。更に最近ワインのソムリエを意識した風味評価をする資格(カッピングジャッジ)が設けられるようになりました。

さてコーヒーの風味と言えば、苦い、香り、酸味といったところがほとんどですが、実はもっとたくさんの表現方法があります、下記に基本となる8つのカテゴリを紹介します。

(1)甘味:
良質のコーヒー豆には糖分が含まれており、焙煎することでカラメル化。これが甘味のもとになります。更に甘味の印象度として、チョコレートのような甘味など色々な表現があります。

(2)綺麗さ:
良質のコーヒーには、液体に濁り、ザラツキがなくピュアな透明感があります。

(3)風味:
フルーツ、スパイス、ナッツ、チョコレート、花など様々な香りと舌で感じる甘味、酸味、苦味、塩味が合体したものが風味です。そのコーヒーを特徴付けるものです。

(4)後味:
飲み干した後の余韻(不快な渋みや爽やかさ)、舌から立ち上る香りの余韻が後味です。

(5)酸味:
爽やかさや明るさ、いわばフルーツジュースのような感覚を酸味といいますが、良質な酸味はコーヒーを活き活きとさせる大切なもので、不快なものはすっぱ味といって区別します。

(6)コク:
舌、口腔で感じるコーヒーの重さ、フルボディやライトボディ、低脂肪乳と生クリームの違い(重さや触感)と言えばお分かりになるでしょうか。

(7)バランス:
風味、酸味など全体のバランスがとれているかどうかも美味しさに繋がります。

(8)全体評価:
ご自身の好き嫌いも含めて、コーヒー全体の印象をみます。


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