マロンズコーヒーブログ

 自覚症状がないまま脳内で小さな出血が起きる「微小脳出血」。コーヒーを飲む男性にはこの発症が少ないという報告がある。

 脳梗塞と脳出血、くも膜下出血など脳の血管に障害が起きる脳卒中は、がん(悪性新生物)、心疾患、肺炎に次ぐ第4位の死亡原因となっている(脳卒中を含む脳血管疾患)(図1)。

脳卒中は、脳の血管がつまったり、破れたりすることによって脳細胞へ酸素や栄養分が行き渡らなくなり、やがて脳細胞が死んでしまう。左右どちらかの半身がマヒして体が自由に動かせなくなるケースが多いのは、脳細胞が死んでしまったためその部位をコントロールできなくなるからだ。

今回紹介する研究は、この脳卒中の予測因子(個人が特定の疾患や障害を生じるリスクを増大させる可能性のある状況や条件)の1つである「脳小血管病」とコーヒー摂取の関係である。

脳卒中のリスクを、回避、警告したい。

 この研究を行なったのは、学校法人聖路加国際大学 聖路加国際病院 脳神経外科部長を務める篠田正樹さん。脳外科医として脳卒中の患者を治療している。

篠田さんは小学校1年生のときに交通事故による頭部外傷で開頭術を受けた経験からこの道に進んだ。子どもの脳神経を再生させる治療法を探すため、神経細胞の移植に関する研究でスウェーデンに留学した経験もある。主な専門分野は脳脊髄液だ。

聖路加国際病院の脳ドックは、脳MRI検査、脳・頚部MRA検査、頚部超音波検査を行なう。年間約900人が外来と入院(宿泊)で受診しており、篠田さんはその多くを診ている。
「今は健康な日々を過ごしている人でも、脳卒中を引き起こすリスクを抱えている人は、少なくないのです」(篠田さん)

語源が「脳に突然(卒)あたる(中)」であるように、脳卒中はある日突然発症する怖い病気だ。篠田さんは脳ドックの受診者を診るなかで「あらかじめ危険を回避、あるいは警告することはできないだろうか」と考えるようになり、ここ数年は脳ドック関連の研究を進めている。

気づかないうちに、脳内で小さな出血。

 篠田さんが興味を抱いたのは脳卒中を引き起こす要因となる脳小血管病の1つである「微小脳出血」だ。脳小血管病とは、微小脳出血と無症候性脳梗塞、大脳白質病変を指す。

微小脳出血は本人に自覚症状がないなか、脳に1cm未満の出血が起きる病気で最近の研究で注目されている。脳内で密かに起きるため「隠れ脳出血」とも呼ばれている。MRI検査では2~5mmほどの出血を見つけることができるが、出血が6カ所以上あると大きな出血、つまり脳出血につながる恐れがあるという論文がある。複数もっていると認知症になりやすいといった報告も相次いでいる。

微小脳出血は、脳の深い場所で起きる場合と表面で生じる場合とで違いがあるとされている。
「深い部位で小さな出血が起きると動脈硬化を反映して、将来、脳卒中に関係する変化につながると考えられています。また、表層の場合の研究はまだ少ないものの、老化を反映して認知症との関連が疑われています」

微小脳出血は(1)血圧が高い人、(2)高齢者、(3)男性に多く発生する特徴がある。しかし、その病態は完全にはわかっていないそうだ。

一方、無症候性脳梗塞と大脳白質病変は「隠れ脳梗塞」と呼ばれている。無症候性脳梗塞は、症状がほとんどなく、本人も知らぬ間に脳梗塞になっているもの。大脳白質病変は加齢が主な原因で、脳に水分を多く溜めてしまう。神経が傷つくわけではないので日常生活に支障はないが、だんだんと神経が途切れていずれは神経の接続が疎になってしまう。

こうした脳小血管病を多く抱えていると、将来的に脳卒中になる危険性が高い。

脳卒中の前段階に、コーヒーが効く?

篠田さんは、脳卒中の予測因子である脳小血管病とコーヒー摂取の関係について調べた。

2013年4月から2014年3月まで、聖路加国際病院で入院脳ドックを受診した455人を対象にアンケート調査を行なった。同院の看護師やスタッフが受診者にアンケート用紙を手渡して、本人の同意を得たうえで聞き取った。
そうしてコーヒーの摂取状況(コーヒーの摂取量、年数、頻度、種類)を尋ね、脳ドックの所見と併せて検討したのだ(図2)。

※クリックで拡大します。

コーヒーに着目したきっかけとして、篠田さんは2つの先行研究を挙げている。
1つは世界でもっとも権威ある週刊総合医学雑誌『The New ENGLAND JOURNAL of MEDICINE』で2012年に発表された「コーヒーの飲用と死亡率の関係」の論文だ。アメリカの研究グループが糖尿病やがんなどにコーヒー飲用を絡めて調べた大規模な疫学調査だが、「コーヒーを習慣的に飲むことで脳卒中の死亡リスクは低下する」と報告されている。

2つめは、国立がん研究センターと国立循環器病研究センター、全国の11保健所、大学、研究機関、医療機関との共同研究として14万人超を対象に行なわれている「多目的コホート研究(JPHC研究)」。コーヒーを飲むことで、脳卒中の発症リスクがかなり抑えられることがわかった。(詳細は「コーヒーで下がる、脳卒中のリスク。」参照)

「コーヒーが脳卒中の抑制に効果があるとすれば、その前段階となる脳小血管病にも効果があるのではないかと考えました」

前述したように「あらかじめ脳卒中の危険を回避、あるいは警告することはできないだろうか」と模索していた篠田さんにとって、コーヒーは魅力的な素材に映った。
そこで脳小血管病とコーヒーとの関係を調べたのだ。

コーヒーを飲む男性は、微小脳出血が少ない。

脳ドックでの脳小血管病(微小脳出血、無症候性脳梗塞、大脳白質病変)との相関性を、単変量解析と多変量解析(複数の結果変数からなる多変量データを統計的に扱う手法)で検討した。

単変量解析では、コーヒーを常に飲んでいる男性はまったく飲まない男性に比べて脳小血管病が少ないという結果が出た。また、コーヒーを常に飲んでいる女性は、まったく飲まない女性に比べて大脳白質病変が少ないという結果が出た。

そして、多変量解析では、年齢、アルコール換算35g/日以上の飲酒常飲、現・喫煙者、体型の要素(BMI)を交絡因子(*)として加味した。すると、コーヒーを飲む男性は微小脳出血が少ないという結果が得られた。

「コーヒーを飲む習慣のある人では、飲む頻度にかかわらず、またお酒やタバコ、年齢を加味しても微小脳出血が少ないという結果が得られました」

また、コーヒーを飲む量(1日当たり)にコーヒーを飲んでいる年数をかけた「coffee cup years」では、飲む量が多いほど微小脳出血をもつ人が少ないという相関性も得られた。さらに、コーヒーを飲んでいる人は微小脳出血の「数」も少ないとの結果も出ている。

篠田さんはこれらの結果を「予想通り」と言う。
「先行研究から鑑みても、コーヒーは微小脳出血によい方向へ働くだろうと思っていました。大きな脳出血を起こした人には、微小脳出血が多く見られましたので、納得できる結果です」

無症候性脳梗塞と大脳白質病変については、多変量解析では有意差(統計上、ある事柄の起こる確率が偶然とは考えにくいこと)こそ出なかったものの傾向は見られるので、受診者の数が増えていけばもっとはっきりしたことが言えると考えている。

コーヒーのどの成分が効くのかは残念ながらわからない。「おそらくカフェインとポリフェノールの関係性ではないか」と篠田さんは推察するが、いずれにせよコーヒーには予防的効果があると言ってよさそうだ。

*交絡因子 調べようとする因子以外の因子で、病気の発生に影響を与えるもの。飲酒とがんの関連性を調べる場合、因子(飲酒)以外の因子(喫煙など)が発生率に影響を与えている可能性があるため喫煙が交絡因子となり、データを補正する必要がある。

ヒトにあてはめると60代に相当する高齢マウスにコーヒーを飲ませると、老化のスピードをゆるめる効果が見られたという。老化とコーヒーの関係とは?

 階段を少し上るだけで息切れしたり、ちょっとしたことが思い出せなくなったりすると「年はとりたくないけど、どうしようもないよ……」とぼやきたくなるが、あきらめるのはまだ早い。

「老化は止められませんが、老化する速度を遅らせることはできるのですよ」と言うのは東京都健康長寿医療センター研究所の研究部長、石神昭人さんだ。石神さんによると、ヒトの場合は20歳~30歳で老化が始まる。

「1歳児が2歳の誕生日を迎えたときに『老化した』とは言わないですよね。おおよそ歳までは発生・成長の段階で、成熟期を迎えると老化が始まる。これが老化の正しい考え方なのです」

加齢と老化は意味が違う。アンチエイジングという言葉が市民権を得たが、訳語として正しいのは「抗老化」。老化は心がけ次第で抵抗できるのだ。

ヒトとマウスの、生存曲線は同じ。

ヒトの老化は心がけ次第と言ったのは、個人差が大きいからだ。
「50歳になったとき、きちんと体の機能が維持できている人もいれば、70歳くらいのレベルになってしまっている人もいます。遺伝的な要因もありますが、それは25~30%ほど。残りの70~75%は、食生活や運動などの生活・環境要因が影響しているのです」

老化とは加齢に伴うさまざまな生理機能の低下を指す。だからいったん落ちた機能を元通りに回復させることは無理だが、落ちてしまった機能を維持したり、落ちていくスピードを遅らせることはできる。これがアンチエイジング(抗老化)の本質だ。

下の図を見てほしい。これはヒトやマウスなどの生存率曲線を描いたもの。最長寿命こそ差があるけれど、生存率はほぼ同じカーブを描いている。つまり、食生活や運動など生活・環境要因を最善の状態に保つことで、ヒトもマウスも最長寿命まで生きられる可能性があるのだ。

最長寿命は、ヒト120歳、マウス40カ月、ハエ100日、線虫30日と差はあるけれど、生存率曲線はほぼ変わらない。生活・環境要因を最善の状態に保ち、曲線を最長寿命へ近づけることを研究者たちは目指している。(石神昭人さん提供資料)

コーヒーに着目した、2つの理由。

ヒトの老化に大きな影響を及ぼすと考えられているのが「mTOR(エムトール)」と呼ばれる遺伝子だ。

「mTORは、ヒトの細胞すべてに含まれている遺伝子です。mTORをもつたんぱく質が増えたり活性化すると、老化がより進むといわれています。アメリカでは、mTORの活性を妨げる抗生物質『ラパマイシン』をマウスに与えたところ、平均寿命も最長寿命も延びたとする研究報告があります」

mTORは老化の進行と密接に関連する。そこで石神さんは、老化を制御する研究の一環としてコーヒーに着目した。その理由は2つある。

1つめは、毎日食べたり飲んだりするもので老化のスピードを抑えられれば理想的。そこで、多くの人が口にするコーヒーを探ろうと考えた。

2つめは、コーヒーには人の体によい影響を与えることを示唆する先行研究が数多くあるからだ。寿命にかぎっても、カフェインを用いることで酵母(イースト)の寿命が延びたという海外の研究論文があるという。

「これらの理由から『コーヒーにはmTORの活性を抑え、老化のスピードを減速させる効果があるのではないか』と考えたのです」

mTORの活性を、コーヒーが抑えた。

 コーヒー以外にもカフェインを含む飲料は多いので、石神さんはレギュラーコーヒー、カフェインレス・コーヒー(以下、デカフェ)を用いた。実験対象としたのは、20カ月齢以上のマウス。ヒトにあてはめると60代に相当する。前述したようにヒトとマウスの生存率曲線はほぼ同じなので、高齢マウス=高齢者とみなすことができる。

石神さんは、4カ月間(17週間)にわたり、高齢マウスをレギュラーコーヒーとデカフェ、水(コントロール群)の三群に分けて飼育した。一日に与えたインスタントコーヒーの量は、60代の日本人男性に置き換えて3.3~3.7杯と計算されている。

その結果、レギュラーコーヒーとデカフェともに起きた現象が2つある。1つは「mTORの活性が抑えられ、その量も減少したこと」。つまり、老化のスピードを遅らせる結果が得られたのだ。mTORの活性を抑えるのは、先行研究で示唆されたカフェインではなく、コーヒーそのものの作用だと考えられるという。

もう1つは「血液中の脂肪酸が減って、肝臓のATPが増えたこと」。ATPとは細胞中のミトコンドリアが生み出すエネルギー源。つまりレギュラーコーヒーとデカフェは高齢マウスのエネルギー量を増やしたことになる。

レギュラーコーヒーのみの現象としては、活動期(夜間)の行動量が増えたことが挙げられる。デカフェはさほど変わらなかったので、これはカフェインの影響が考えられる。

「とても興味深い結果です。mTORの活性を抑える物質がカフェインではないことがわかったのです。コーヒーに含まれる何かなのでしょう」
コーヒーが老化のスピードを遅らせる可能性があることがわかった今、石神さんはコーヒーが高齢マウスの寿命に影響を与えるかどうかを研究中だ。

あえてコーヒーで、リラックスタイム。

学生時代から老化のメカニズムの解明と制御を研究している石神さんだが、かつては「なぜ人生の終末にかかわる研究なんてしているの?」と不思議がられたという。しかし、当時の将来人口動態推計はすでに高齢社会の到来を予測していた。今は、老化の速度を遅らせて、個々の最長寿命に近づける方法を探っている。

石神さん自身、コーヒーは毎日3~4杯は飲むが、個人差もあるので過信しすぎてもよくないと考えている。

「今回の実験ではよい結果が出ましたが、体質にもよるのですべての人に効果があるとは言い切れません。ただし、コーヒーにはリラックス効果があります。実は、精神状態が体に及ぼす影響はかなり大きいというデータも出ています。忙しい日々、あえてコーヒーを飲んで一息つくことによって気分転換をする――そうした副次的な効果も欠かせないと思います」

老化のスピードを抑えるために大事なこととして、外を歩くといった運動を習慣化するほか、石神さんはさまざまなメディアでビタミンCの積極的な摂取を呼びかけている。ビタミンCは水溶性なので溜めることができず、不足しがち。飲料やサプリメントを活用するのもよい方法だと勧めている。

コーヒーを飲んで、定期的な運動とビタミンCの摂取を心がける。これがアンチエイジングの第一歩となる。

コーヒーは当初、「食べ物」だった!?

時は6世紀。アフリカ・エチオピアの高原に群生している木々。その木は白い花をつけ、小さい実をつけていました。この実をヤギが食べて興奮しているのをみつけた山羊飼いの少年が、自ら実を食べてみたところ、うん、これはなかなかいける!この評判を耳にした修道僧達がこぞってこの実を食べてみると、力が沸いてくるような不思議な感覚を抱いたとか。それが、コーヒーの起源といわれています。

その実をつけたのはアカネ科の植物「コーヒーノキ」。ちなみに、アフリカは「人類起源説」があるほど、古くから人が住んでいたといわれる地。コーヒーノキも6世紀以前からあったかもしれないと考えると、人類とコーヒーの出会いはもっと古かったかもしれません。

一般的に「コーヒー豆」と呼ばれるものは、コーヒーの実の種子にあたる部分です。「豆」と呼びつつも「種」だったんですね。しかしコーヒーノキの実にも若干のカフェインが含まれており、冒頭にあるようなことが起こったといわれています。この他にもコーヒーの起源は諸説あるのですが、興味深いのは、当初コーヒーは「食べ物」として機能していた点です。エチオピアの民は、コーヒーの実をすりつぶして動物性の油脂を混ぜ合わせ、団子のように丸めて食べていたとか。その後、実と種子を煮て食べる過程で、「煮汁」を飲むスタイルが広まり、やがて種のみを乾燥させたり、煎ったりしたものを粉状にする手法が生まれたのは13世紀になってからとのことです。

少し時間を戻して、10世紀。アラビア人の医師、ラーゼスが、有史以来初めてコーヒーに関することを記述したといわれています。しかもラーゼスは、コーヒーの消化作用や利尿作、健胃作用についてまで記していました。つまりコーヒーは「薬」としての側面も持っていたのです。

トルコでは「占い」に、日本では「薬」に

その後、コーヒーは世界を駆け巡ります。各地のコーヒーの特色を紹介しつつ、そのルーツにスポットを当ててみましょう。

トルコ 「ターキッシュ」、つまりトルコのコーヒーです。コーヒーにはアラビア起源説もあり、アラビアからヨーロッパへ広まる中継地点として16世紀中頃、トルコに流入。首都イスタンブールにはコーヒーショップ「カーヴェハーネ」も登場し、貴族や僧侶の飲み物から、一般大衆の飲み物として広がりをみせました。

ターキッシュコーヒーは「煮出す」コーヒーです。粉を水に溶いて砂糖を入れてからトロ火で熱し、泡が立てばできあがり。一般的なコーヒーに比べると、濃厚な味を楽しめます。このコーヒーをいかに美味しく作れるかが、「良い花嫁」の条件であるとか。また、お見合いの返事も「OK」なら砂糖を入れた美味しいトルココーヒーを見合い相手に出し、お断りする場合は砂糖の代わりに塩を入れるんだとか。断られた上に塩辛い・・・トルコの男性にはちょっと同情しますね。

ちなみに、コーヒーを飲み終えてからソーサーをカップの上に置き、ソーサーとカップを押さえながらクルリと逆さまに。カップが冷めたら元通りに戻すと、沈殿していたコーヒーのかすがカップの内側に模様を描いています。これで運勢を占う「コーヒー占い」もトルコでは日常的に見られる風景。「お茶の時間を楽しむ」コツを知っている人達だなぁと思います。

アメリカ
かつてイギリスの支配下にあったアメリカゆえ、「紅茶」のほうが浸透したはずでは?と思う方もいらっしゃると思いますが、ご存知の通りちょっと薄味でライト感覚の「アメリカンコーヒー」をはじめとするコーヒー文化が成り立っています。

しかし以前はアメリカも「紅茶」文化でした。これが一転した契機といわれているのが、1773年に起きたボストン茶会事件。東インド会社による紅茶貿易の独占、さらに重い関税をかけて値が高騰したことに憤慨した人々は、ボストン湾に停泊していた船を襲撃して紅茶の入った箱を海に投げ出しました。これが火種のひとつとなって、やがてアメリカは独立を志すようになったといわれています。縁の切れ目が紅茶の切れ目、ひいてはそれがコーヒーの台頭につながったといえるでしょう。

日本
日本にコーヒーが入ってきた時期には諸説ありますが、およそ江戸時代といわれています。しかも当初は「薬」と見なされていました。そのエピソードを物語る記念碑が、日本最北端の地、宗谷岬にあります。

宗谷岬には探検家、間宮林蔵の像や「日本最北端の地の碑」があることで知られていますが、意外と知られていないのが「津軽藩兵詰合の記念碑」。この記念碑は、大きなコーヒー豆をかたどっているんです。江戸時代、北方警護のために幕府は東北の藩士達を宗谷の地に派遣。極寒の地で過ごす藩士の養生のため、当時は物珍しかったコーヒー豆を配給しました。それでもあえなく、この地で多くの藩士が命を落とし、彼らを供養する意味でコーヒー豆の記念碑が建てられたのです。

 

コーヒーを飲むと下痢になる…原因と対処法は?

眠気覚まし、気分転換、喉の渇きを癒す、リラックス、打ち合わせの必須アイテム…いろんな目的やシチュエーションで登場するコーヒー。大好きで毎日欠かせない!という人は、結構多いと思います。中には、自称「カフェイン中毒」を自慢する人もいたりします。

でも、コーヒーが大好きなのに、飲むと必ず下痢をしてしまうという人が、実は少なからずいるのです。コーヒー好きにとっては、それは辛い状況ですよね。また、仕事や付き合い上、コーヒーが飲めないと困るという人もいることでしょう。

そこで、コーヒーを飲むと下痢をしてしまう原因と、下痢にならない対処法をまとめてみましたので、参考にしてみてください。

コーヒーを飲んだら下痢になるのはなぜ?

コーヒーを飲むと下痢になる原因は、いくつか考えられます。悩んでいる人は、ひとつずつ自分に当てはまるかどうか、チェックしてみてくださいね。

カフェインが交感神経を刺激する

コーヒーには、玉露(又は濃いめの緑茶)に次いで、かなり多くのカフェインが含まれています。下に、一般的な飲み物に含まれるカフェイン量をまとめてみました。いずれも、飲み物100ml中に含まれるカフェイン量を示しています。

玉露(濃いめの緑茶) :120mg
レギュラーコーヒー  :100~170mg
インスタントコーヒー :50mg
缶コーヒー(ブラック):50~100mg
紅茶         :20~60mg
栄養ドリンク     :50mg
ココア        :20~30mg
ほうじ茶       :20mg

玉露は一度に少ししか飲まない場合がほとんどですが、コーヒーの場合は、気が付いたらガブガブ飲んでいることも多いですよね。なので、飲み方を考えると、コーヒーが一番カフェインの摂取量が多いかもしれません。

カフェインは交感神経を刺激します。そうすると、自律神経が不安定になり、下痢の原因になることがあります。逆に便秘になる人もいます。

カフェインが下痢の原因であるかどうかを確かめるには、コーヒー以外にカフェインが含まれている飲み物、例えば、玉露や紅茶などを飲んでみて、同様に下痢になるかどうかをチェックしてみることです。玉露や紅茶を飲んでも下痢をしなければ、カフェインが原因ではない可能性があります。

なお、玉露や紅茶には、次にご紹介する原因であるタンニンという成分も含まれています。なので、例えば、タンニンを含まない栄養ドリンクを飲んでも下痢をするようであれば、カフェインが原因であると絞り込める可能性が高くなります。

タンニンが胃腸を荒らす

玉露や紅茶などを飲んでも下痢になったとしたら、カフェインの他に、もうひとつの原因が考えられます。それは、タンニンです。タンニンはポリフェノールの一種で、渋みの素でも知られています。

主な飲み物のタンニン含有量は、以下の通りです。いずれも、たくさん含まれていることがわかりますね。

玉露(濃いめの緑茶):100mg
レギュラーコーヒー :70mg
紅茶        :40~100mg

タンニンは、摂りすぎると胃腸を荒らす原因となり、その結果、下痢になる可能性があります。また、もともと、タンニンが体質的に合わない人もいます。

過敏性腸症候群である場合

敏性腸症候群は過敏性腸炎とも呼ばれますが、ストレスなども含め、ちょっとしたことが刺激となってしまい、腹痛や下痢、便秘、又は下痢と便秘を繰り返す、などの症状が現れます。カフェインも刺激物となってしまい、コーヒーを飲むと下痢をしやすくなります。

コーヒーの酸化

コーヒーには油分が含まれていて、時間とともに酸化します。豆の状態より、豆を挽いて粉にした場合の方が、早く酸化しますし、コーヒーを淹れた状態でも、どんどん酸化が進みます。

酸化したコーヒーは、酸味が増して味が落ちるだけでなく、胃への負担も増えますので、その結果、下痢をしやすくなります。

牛乳やミルクが体に合わない

コーヒーに牛乳やミルクを入れて飲む人は、その牛乳やミルクが体に合わなくて、下痢を引き起こしてしまう可能性もあります。

乳糖不耐症の人は、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロとして下痢をしてしまいます。また、ミルク(コーヒーフレッシュ)は、植物油や乳化剤などが含まれており、体調が良くない場合は、これらのもので下痢を引き起こす可能性があります。

ですので、思い当たる人は、ブラックで飲むようにしてみましょう。

また、ミルク入りのホット缶コーヒーを買うときは、賞味期限にも注意してください。加熱した状態だと、製造から2週間程度で、ミルク成分が分離したり酸化したりしやすくなるようです。

コーヒーアレルギー

実は、コーヒーもアレルギーの原因(アレルゲン)となるのです。症状は、一般的なアレルギーと同様に、蕁麻疹が出たり、気分が悪くなったり、ひどいときには嘔吐したりもします。

化学物質が原因

コーヒー豆を焙煎したときにできる化学物質が、胃腸を荒らすことにより、下痢になることもあります。コーヒーを淹れた後、30分経つと、この化学物質の悪影響がより出てくるようです。

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下痢にならない飲み方は?

原因はわかったけど、それでもやっぱりコーヒーを飲みたい!という人や、飲まなければならないシチュエーションがある!という人も多いと思います。そこで、下痢にならない飲み方も、ご紹介しましょう。

飲み過ぎない

まず第一に、飲み過ぎないことが大事です。眠気を取るためだとか、ダイエットにいいから、などと言って、ガブガブ飲んでしまうと、下痢をするだけでなく、頭痛を引き起こしたり、気持ち悪くなったりすることもあります。また、カフェイン中毒になる可能性だって考えられます。

何ごとも「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。コーヒーも、その人の体にあった適量があるはずです。体調にもよりますが、自分で「どのくらいの量なら大丈夫なのか?」を見極めてみましょう。

お湯の温度を下げる

コーヒーの粉を使ってコーヒーを淹れる場合、実は、お湯の温度によって、カフェインやタンニンの抽出具合が異なってきます。90度以上の熱湯で入れると、カフェインやタンニンがたくさん溶け出してしまうのです。

そこで、コーヒーを淹れるときは、沸かしたお湯を80度くらいに下げてから、淹れてみてください。また、粗めに挽いた粉を使い、注ぐときのお湯の量を多めにして、短時間で淹れるといいようです。

空腹時は避ける

目覚めの1杯は欠かせないという人も多いかもしれませんね。でも、今までご紹介したように、コーヒーに含まれるカフェインやタンニンは胃を荒らしやすいので、空腹時は避けた方がいいのです。

朝に飲むなら朝食を食べてから、3時の休憩に飲むときはおやつを食べながら、というふうに飲むようにしましょう。

淹れてから時間をおかない

前述したように、コーヒーは酸化しやすいものです。コーヒーを淹れてから時間をおくと、酸化が進んでしまい、胃を荒らしやすくなります。コーヒーを淹れたら、できるだけさっさと飲みましょうね。

と同時に、新鮮な豆や粉を使うことも重要です。いくらコーヒーを淹れてすぐに飲んだとしても、豆や粉が古く、酸化が進んでいる状態であれば、胃への負担が減らないので、意味ないですよね。

また、もともとコーヒーは酸性の飲み物なので、胃への負担を少なくするために、酸性度を下げると効果がある場合もあります。方法は、アルカリ性である重曹を少量混ぜるだけという簡単なもの。味は少しまろやかになる程度で変わらないので、おすすめです。

重曹は、掃除用ではなく、食用のものを使ってくださいね。「ベーキングパウダー」や「タンサン」という名称で販売されています。

カフェインレスコーヒーにする

カフェインが下痢の原因である場合は、カフェインレスのコーヒーを飲むようにするといいでしょう。今は、カフェインレスのコーヒーもコンビニなどで手軽に手に入りますし、スターバックスなどのお店でも注文できるようです。

また、コーヒー豆の代わりにタンポポの根を焙煎したタンポポコーヒーも、優しい味わいで人気です。体を冷やすコーヒーと違って、タンポポコーヒーは体を温めてくれるのも嬉しいポイントですね。

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黒い下痢状の便が出たら!?

最後に、コーヒーを飲んで下痢をしたときに、その便が黒い場合について、まとめておきます。便は健康のバロメーター。ちゃんとチェックするようにしてくださいね。

コーヒーを飲んで出ることがある

食べたものによって便の色が変わるというのは、経験している人も多いのでは?コーヒーを飲んだ後の下痢便が黒い場合、コーヒーの色が出ているのかもしれません。コーヒー以外にも、ワカメなどの黒い食べ物や、肉をたくさん食べたときも、便が黒くなります。

いずれも、他に不調がなければ、様子を見ていいでしょう。

病気の可能性も

食べ物によるもの以外の原因として、病気が潜んでいるときにも、黒い便が出ます。特に、貧血がひどく、めまいがする場合などに、黒い便が出る場合は、胃腸などから出血している可能性があります。出血しているから貧血を起こし、その血が便に混ざって酸化することにより黒くなる、というわけです。

この場合、考えられる病気としては、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食道静脈瘤、胃がんなどです。貧血・めまい+黒い便の組み合わせの場合は、一度、病院で診てもらいましょうね。

 

コーヒーとうまく付き合おう!

ピン

コーヒーを飲んで下痢をする原因と、下痢をしない飲み方をいくつかご紹介してきましたが、いかがでしたか?

好きな人にとっては切っては切り離せないものだし、そんなに好きではなくても飲まざるを得ないシチュエーションも多いコーヒー。飲む以上は、体に優しい飲み方をしたいものですね。

コーヒーの効能もいろいろわかってきています。今回ご紹介した飲み方も参考にして、コーヒーと上手く付き合い、さわやかな毎日を過ごしてくださいね。

ダイエットをスムーズにするのを助けてくれる。

ダイエットをしても、なかなか効果がない!そんな時は、コーヒーのパワーを借りてみるのもおすすめです。
コーヒーに含まれるカフェイン、先ほど脂肪燃焼に効果が期待できると書きました。

そのカフェイン、運動の30分前に摂取すると、効率的に脂肪を燃焼させてくれると言われています。
カフェインを摂取することで、血中の脂肪酸濃度が上がり、脂肪を燃焼しやすくしてくれるのです。
ダイエットに運動やウォーキングを取り入れている人には、ぜひとも試していただきたいですね。

美白美肌になるのを助けてくれる。

コーヒーに含まれるクロロゲン酸には、老化を促進させる「活性酵素」のはたらきを除去するはたらきがあります。活性酵素は、シミ・シワ・たるみなどの原因となる物質です。

また、クロロゲン酸の殺菌作用により、睡眠不足やストレスからくるニキビや肌荒れを抑える効果も期待できると言われています。

シミを予防してくれる。

年齢とともに、気になってくるのがシミ。日焼けには十分気をつけてきたはずなのに、気づいたらこんなところにも、あんなところにもシミが出来ていた!なんてことありませんか。
そんな女性の強敵、シミがコーヒーを飲むだけで予防できちゃうそうなんです。

コーヒーに含まれるクロロゲン酸というポリフェノールが(抗酸化物質)のはたらきによって、シミの原因となるメラニンの生成がおよそ3割も抑えられると言われています。

1日2杯以上のコーヒーを飲むことで、シミを予防する効果があると言われていますので、シミが気になるお年頃の皆さん、1日2杯はコーヒーを飲む習慣をつけましょう。

リラックス効果が期待できる。

コーヒーの香りを嗅ぐと、脳にα波が発生するという実験報告があります。
そのα波がストレス軽減に効果があると言われています。

コーヒーの香りの効果はもちろんですが、コーヒーを飲んでほっと一息をつく、そんなリラックスできる至福の時間もストレス社会を生きる現代人には必要ですね。

そして、なんとこのコーヒー、うつ病の発症リスクまでも下げてくれると言われていますので、コーヒーのリラックス効果は絶大なようです。

デトックス効果が期待できる。

コーヒーに含まれるカフェインの利尿作用により、デトックス効果が期待出来ます。
身体の中にたまった老廃物を体外に出してくれるので、デトックス目的で飲むのもいいですね。

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