血のかたまりが血管に詰まってしまう血栓は、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすやっかいもぬですが、東海大学医学部の後藤信哉教授の研究で、コーヒーにはこの血栓をつくりにくくする不思議な作用があるそうです。
皆さんご存じのように、日本人の死因の第1位はガンですが、欧米の人たちの死因で最も多いのは心血管病です。
これは酸素をたくさん必要とする心臓や脳などの特別な血管に血のかたまりが詰まってしまい、組織に十分な酸素が行き渡らなくなって起きる病気です。
少し前までは「コーヒーは心筋梗塞になる確率を増やすのではないか」という疑いがありましたが、研究が進み疫学的にコーヒーと心筋梗塞の関係が明らかになってきました。
「心筋梗塞に罹った人のうち、コーヒーを飲んでいた人と飲んでいなかった人の数を単純に比較すると、若くして心筋梗塞になった人は『コーヒーを飲んでいた人が多い』と言われていたんです。
なぜかというと、コーヒーだけでなくタバコを一緒に吸っていたからなんです」
そこで、コーヒーとタバコを分離した研究成果が「フラミンガム研究」で発表されました。
フラミンガム研究とは、アメリカ・マサチューセッツ州ボストンの郊外にある人口3万人ほどの小さな町「フラミンガム」で行われている心血管病に関する経年的で大規模な追跡調査のことで、アメリカ政府は、この町の住民の健康状態を1948年から今日まで数十年間追い続けています。
その結果、「血圧が高い」「タバコを吸っている」「肥満である」「高脂血症がある」など、心筋梗塞になりやすい因子がわかった。
さらに、生活習慣の中でコーヒーとタバコを分離すると、コーヒーを飲んでいる人のほうが心筋梗塞になりにくいことも明らかになったという。
驚いたのは、マウスを使った実験で、片方は血液を固まりにくくする薬を与え、もう片方はコーヒーを与えたところ、血のかたまりをつくりにくくする薬を与えたときよりも強い効き目を示しました。
※ただし、マウスでの実験なので、そのまま人間もそうなるかは現在研究中です。
では、コーヒーのこの成分が有効なのか?
後藤信哉教授はカフェインではないかと検証をしたのですが、結果は、カフェインのみを与えても、効果がありませんでした。
どうも、カフェインだけではなく、コーヒーの成分が複合的に作用しているようで、
これからの研究で解明されることを期待します。
1日のはじまりにゆっくりと味わうモーニングコーヒー。それが心筋梗塞の予防にもつながるのであれば、ぜひ毎朝の習慣にしたいものですね❗