これまでコーヒーの有用成分として、カフェインやクロロゲン酸をご紹介してきましたが、今回は『キナ酸』をご紹介します。
キナ酸はコーヒーの木と同じアカネ科の「キナ」という木から発見されたファイトケミカルです。
「ファイトケミカル」とは野菜、果物など植物性食品の色素や香り、アクなどに含まれる化学物質で、抗酸化力を持つものが多く、さまざまな植物から多様な成分が発見されています。
5大栄養素の炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、そして第6の栄養素である食物繊維に続き、ファイトケミカルは第7の栄養素とも言われます。
キナ酸はかすかな酸味が特徴的な有機酸で、コーヒーの実やクランベリーの実にも含まれています。
キナ酸のはたらき
キナ酸は体内に入ると、腸管で吸収されて血液に入り、肝臓で代謝されて最終的には尿の性質を酸性に変える働きをもつ「馬尿酸」に変化します。
この馬尿酸が尿を弱酸性に保つため、膀胱や尿管の細菌の増殖を抑えるので、膀胱炎などの尿路感染症に効果があるといわれています。
また近年、キナ酸の一種であるカフェオイルキナ酸(クロロゲン酸類)にはアルツハイマー病を予防する効果があることが示唆され、研究が進められています。
コーヒー豆に含まれるキナ酸
コーヒーの種子(生豆)に含まれるキナ酸はカフェ酸と結合し、カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸類)という形で存在しています。
コーヒー豆中に5~10%存在し、カフェインよりも多く含まれています。
そのカフェオイルキナ酸(クロロゲン酸)は、熱(165度以上)+水分による化学反応で、キナ酸とカフェ酸に変化します。
コーヒー豆を焙煎する過程では、キナ酸のほか、リンゴ酸やクエン酸などの有機酸が生成されて酸味の強弱が変化し、苦味とのバランスが変化していきます。酸味のほかにも、苦味、香りなど焙煎によって変化していくコーヒーの味には様々な成分による複雑なメカニズムが関与しているのです。
(参考:コーヒー健康情報センター)