人工透析が必要になったり、失明などの合併症が恐ろしい糖尿病。
しかし、コーヒーを飲むことで膵臓の細胞の働きを高め、予防できる可能性があるそうです。
現代病の一つとして恐れられている糖尿病。いくつかのタイプに分かれるが、約90%を占めるのが「2型糖尿病」、これは食生活や運動不足、ストレス、加齢などから引き起こされます。
ところが、コーヒーを毎日飲むことで、コーヒーに多く含まれるクロロゲン酸が膵臓の細胞の働きを高め、糖尿病を予防する可能性があるという研究が神戸大学大学院保健学研究科木戸良明教授より発表されました。
人間ドックや健康診断で血糖値が高いとされても、痛みなどの自覚症状がないため放っておく人も多いが、糖尿病は合併症が問題なのだと木戸さんは言う。
「糖尿病の三大合併症は高血糖による『細小血管症』です。細小血管症には目の網膜症と腎臓の腎症と神経の神経障害の三つがありますが、成人の失明原因の第1位は目に起きる網膜症です。細小血管症が腎臓に起きると人工透析が必要になり、手足に起これば手足のしびれや筋肉の萎縮、最終的には手足の切断に至ることもあります。さらに怖いのは『大血管症』です。動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすのです」
糖尿病は、視力を失うなどのQOLの低下を引き起こすだけでなく、生死にかかわる病でもあることを肝に銘じたい。
膵β細胞の維持に、クロロゲン酸が効く
クロロゲン酸は膵β細胞におけるインスリンシグナルに影響を及ぼすのではないかと考えました。というのも、以前からコーヒーは糖尿病に効くという論文をたびたび目にしたからです。なかでもクロロゲン酸は、肝臓や筋肉、脂肪へのよい働きかけがありますし、インスリン分泌を亢進するという報告もあるからです」
まず、木戸さんは膵β細胞の細胞株*にクロロゲン酸を投与する実験を行なった。すると、明らかにインスリンシグナルを活性化していることを示す結果が出た。
今の主流薬と似ている、クロロゲン酸の作用
「小胞体ストレス」とクロロゲン酸との関係を見る実験を行いました。
ここで木戸さんは、糖尿病の治療薬として今の主流である「インクレチン」という膵β細胞を保護する薬と、今回の実験で確認したクロロゲン酸の働きと共通する部分が多いと話す。
クロロゲン酸にはインクレチンのような効果がある可能性があるうえ、クロロゲン酸がインクレチンそのものを促進することを示唆する論文も二つ発表されているそうです。
今回の研究結果について、木戸教授は日本人に多い2型糖尿病の予防にコーヒーは有益である可能性があるということです」といわれました。
今までの治療の補強として、そして近い将来新しい薬も期待出来るかもしれませんね。