コーヒーと認知症のことについて、コーヒーを飲むことが認知症の予防に効果があるのではないかと言われはじめているそうだ。
「コーヒーのカフェインが関係しているのではないかとの仮説を立てている研究者がいます」
今回の研究でもコーヒーと脳小血管病以外に「脳室」について調べていた。
脳室とは脳脊髄液がつくられる脳内の腔のこと。脳室ではまるで泉から水が湧くように脳脊髄液がつくられているが、なんと1日に500ccも産生しており、1日に3回入れ替わるという。
脳室の縮み具合を調べたところ、コーヒーを常に飲んでいる人は脳室の縮みが少ないという結果が出た。
「脳室が縮むと、脳の中のいわば水である脳脊髄液が溢れます。水が増えると脳の実質のボリュームが減ってしまい、認知症につながる恐れがあります。脳脊髄液が脳のなかに溢れると水頭症になりますが、対象者が少なくて水頭症とコーヒーの相関関係は調べられませんでした」
脳脊髄液とカフェインにこだわるのは、なんらかの理由で脳脊髄液が減少し、頭痛やさまざまな全身症状が現れる「脳脊髄液減少症」の治療にカフェインを用いるからだ。
「脳脊髄液が減少したとき、なぜかカフェインが効くといわれています。カフェインが脳脊髄液の代謝に関係がありそうなので、カフェインを多く含むコーヒーとの関係を調べてみたいものです」
食事とコーヒーで、高血圧を予防。
脳卒中の危険因子には高血圧、糖尿病、高脂血症、心房細動、喫煙、飲酒などがある。そのなかでもっともよくないのは高血圧です。
「血圧は、収縮期血圧(上)が130以下、拡張期血圧(下)は80以下が好ましいですね。通常は140/90以下とされていますが、脳卒中に関しては一段低い数値が求められます」
血圧が高くなる要因として(1)食生活、(2)加齢、(3)体重が挙げられる。とくに体重は1kg増えるごとに、血圧の上が1.6mmHg、下が1.1mmHgほど下がる。つまり10kg増えると血圧は10以上高くなる計算だ。
「歳を重ねると基礎代謝が落ちるので、同じ食事を食べていても体重は増えていくので血圧も上がります。体を動かす習慣がないと、血圧は確実に上がります」
高血圧を予防するにはどうしたらよいのか。お勧めは「地中海式ダイエット」だ。
「野菜、果物、穀物、魚介類を多く摂るようにします。料理はオリーブオイルを使って、お酒は赤ワイン。血圧を下げるにはバランスのよい食事です」
地中海式ダイエットはテレビで紹介されているが、脳卒中の学会でも推奨している。そのほか、塩分を抑えたダイエットもよいと言う。
「こうした食事と合わせてコーヒーや緑茶を飲むことが、高血圧の予防につながると思います」
また、意外に思うかもしれないが、高血圧の抑制にはチョコレートが効くとされている。
「カカオに含まれるポリフェノールがよいといわれています。コーヒーのなかにチョコレートを入れる飲み方がありますよね? コクがあっておいしいので、そういったことも試してみてください」