日本に初めてコーヒーが上陸した頃のお話です。
ヨーロッパではコーヒーが伝わってから約200年を経て、コーヒーは西欧の人々の生活になくてはならない飲みものになっていました。
一方その間、鎖国政策をとっていた日本は世界のコーヒー文化から取り残されていたのです。
日本では、長崎・出島が西欧の文化に触れることのできる唯一の場所でした。
コーヒーがオランダ商人によって日本に伝えられたのは1600年代初め、長崎・出島のオランダ商館での出来事でした。
初めてコーヒーを飲む名誉を与えられた日本人は残念ながらわかっていませんが、当時、オランダの商人と会うことができたのは、役人、商人、通訳、遊女だけ。
本当に限られた日本人のみが商館への出入りを許されていて、その中に初めてコーヒーを飲んだ日本人がいるのかもしれません。
文献「長崎寄合町諸事書上控」の中には、長崎丸山の遊女が貰った物の一つとして「コヲヒ豆一箱。チョクラート」という文章があります。彼女たちがここでコーヒーを飲んでいたことが想像できます。
この彼女が、日本最初にコーヒーを飲んだ人か定かではありませんが、このような遊女が最初に飲んだ可能性はあると思います。