マロンズコーヒーブログ

ベトナムは、今や世界第二位のコーヒー生産国。

主に「ロブスタ種」のコーヒーの栽培地です。
かつてフランス領インドシナ連邦下にあったベトナムは、フランス文化の影響を強く受けており、フランスの抽出器具を応用した金属製フィルターで細かく挽いたコーヒーを濾して飲みました。
フランスには、ミルクを用いたカフェ・オ・レというメニューがありますが、冷蔵庫が普及していなかった当時のベトナムでは、ミルクに代わって常温で保存可能なコンデンスミルクでカフェ・オ・レを楽しみました。
こうして苦味のきいたベトナム産コーヒーが、甘く優しい香りのコンデンスミルクと溶け合い、ベトナム流のメニューとなったのです。

真っ赤な実が沢山つくコーヒーの木。その1本の木から、何杯分のコーヒーがとれると思いますか?
品種や栽培地によって差はありますが、コーヒーの木1本から実際に採れる果実(コーヒーチェリー)は、おおよそ3kg。
そこから生豆を取り出すと約500g、そして焙煎すると水分が抜けて約400gとなります。
1杯のコーヒーを淹れるために10gのコーヒー粉を使うとしたら、約40杯分。
つまり、1本のコーヒーの木から、コーヒーは約40杯しかとれないのです。
毎日コーヒーを飲む人なら、1年に約10本のコーヒーの木が必要になるということになりますね。
コーヒーの木が成木になるまで3~5年かかると考えると、1杯のコーヒーって、

とっても貴重だと思いませんか?

「可非」「可否」「黒炒豆」。
コーヒーの音に当てた漢字は数あれど、「珈琲」という漢字を日本で初めて考案したのは幕末の蘭学者、宇田川榕菴(うだがわようあん)だと言われています。
「コーヒー」が「珈琲」という漢字で表記された理由は、コーヒーの木の枝に実った赤い実の様子が、当時の女性が髪に飾っていた「かんざし」に似ていることから。「珈」は髪に挿す花かんざし、「琲」はかんざしの玉をつなぐ紐を表しているそうです。榕菴は、なんとも美しい発想で「珈琲」を誕生させました!
ちなみに、日本で初めて西洋の植物学を紹介したり、酸素、水素、窒素、細胞といった言葉を日本語にしたのも彼の功績。多彩でクリエイティブな榕菴は、翻訳と造語の天才ですね!

コーヒーの味は焙煎で変わる

コーヒー豆は火で煎ることではじめて、色は淡緑色から濃い茶褐色へと変化し、華やかな芳香とほろ苦い風味が生まれます。そもそもコーヒーは、生豆を煮たスープが飲まれたり、コーヒーの実ごと潰して団子に調理したものが食べられていたようで、焙煎の手法による琥珀色のコーヒーが飲まれはじめたのは13世紀ごろといわれています。

焙煎の深さによる味の変化

焙煎の深さによる味の変化

酸味と苦味のバランス

浅煎りの状態では酸味が強く、深煎りになるにつれ酸味は少なくなり、苦味が増していきます。ただし、豆によっては深く煎ってもずっと酸味が残るものもありますし、熱量、焙煎時間、生豆の水分含有量で酸味と苦味のバランスは複雑に変わります。そういった特性を考えながら、最高の味と香りを引き出していくことが、焙煎の醍醐味でもあります。

酸味のメカニズムは意外と複雑

コーヒーの酸味は、熱によって成分の化学反応が起きて酸味の量が増えたり減ったりしています。例えば、クロロゲン酸が分解してキナ酸やコーヒー酸が、少糖類が分解して酢酸やギ酸、乳酸が生成される、といったように。しかし焙煎が進むと、ある段階から今度は酸の熱分解が始まり、酸味は減っていきます。

現在、経済流通しているコーヒーのほとんどは、3大原種のうちの、カネフォラ種(ロブスタ種とも呼ぶ)とアラビカ種の2種ですが、キレのある酸味(揮発性のある酸味成分)の元となる少糖類は、アラビカ種のほうが多く含まれています。

また、コーヒーを何杯か作り置きしておいて、後から飲んだら、酸味が強くなった気がしたことはないでしょうか。これは、キナ酸にはじめから酸味を示すものと、湯に浸かってからゆっくり酸味を示すものがあるため、淹れてから酸味が増えるのです。

コーヒー豆知識:コーヒーの木と3大原種

色が苦味となる

苦味のほとんどは、主に糖質とアミノ酸とクロロゲン酸から作られる褐色色素(コーヒーの茶色)によるものです。ですから、深煎りになるほど褐色の色素は大きくなり、苦味は強く重たくなります。
コーヒーの苦味=カフェインというイメージがありますが、意外にも味としての影響は1割程度と言われています。ですから、ノンカフェインのコーヒーであっても十分な苦さが残るのです。
また、アミノ酸やタンパク質が加熱されることでも、苦味成分が生成されます。これはジケトピペラジン類という物質で、ココアにも含まれているそうです。

アロマあってのコーヒー

焙煎によって作られる香りの成分はおよそ650種類ほどが知られています。「豆」を構成する成分としてはごく微量ですが、「コーヒー」を形づくる意味ではとても大きな役割を果たしています。

産地によって香りが違うのは、特有の成分の有る無しではなく、香味成分の元となる、少糖、アミノ酸、クロロゲン酸など、約40種類の成分による微妙なバランスによって、決まると考えられています。
また、焙煎が深くなるほど増えものと減るものがあり、この総量とバランスが香味を決めているのです。

【増える】
スモークフレーバー(フェノール類)、刺激臭(ピロール類、ピリジン類)

【増えてから減る】
酸っぱい香り(酸類)、甘いローストの匂い(フラン類)

【ほぼ一定】
ナッツ系、グリーン系の香りなど(ピラジン類)

甘味の不思議

焙煎すると、甘味を知覚させるショ糖などの糖類は、コーヒーの色素と酸味と香りに変わって、成分としてはほとんどなくなってしまいます。
多糖類が熱分解される過程で、低分子の糖類が生成されるという説もありますので、それが微妙な甘味を醸し出しているのかもしれません。もしくは、糖類がカラメル化したときの甘い香りやコーヒー豆の脂質が甘味を感じさせているのか、実のところ、よく解明されていないのが現状です。しかし、この繊細な甘味が日本ではとても好まれています。

コーヒーの成分

カフェインをはじめとするコーヒーの成分や
カロリーなど科学的データを解説します。

【コーヒーのカロリーと成分】

コーヒーは農産物ですので、正確に言えば品種や収穫地、精製方法、焙煎方法などによって成分量は変化しますが、ここでは標準とされているブラックコーヒーの成分を記載しています。

浸出液100g中の成分
カロリー 4kcal リン 7mg
水分 98.6g Tr:微量
たんぱく質 0.2g ナトリウム 1mg
脂質 Tr:微量 カリウム 65mg
炭水化物 0.7g ビタミンB2 0.01mg
灰分 0.2g ナイアシン 0.8mg
カルシウム 2mg

浸出条件:コーヒー粉末10gを熱湯150mlで浸出
参考文献:七訂 日本食品標準成分表より


【コーヒーや茶類に含まれるカフェイン量】

コーヒーの成分の中でも特徴的なカフェイン。他の飲料と比較してみましょう。

(液体100g中)

種類 カフェイン量 備考
レギュラー
コーヒー
0.06g コーヒー粉末10gを熱湯150mlで浸出
インスタント
コーヒー
0.06g インスタントコーヒー2gを熱湯140gに溶解
紅茶 0.03g 紅茶5gを熱湯360mlで1.5~4分浸出
煎茶 0.02g 茶10gを湯(90℃)430mlで1分浸出
ウーロン
0.02g 茶15gを湯(90℃)650mlで0.5分浸出

参考文献:七訂 日本食品標準成分表より

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