マロンズコーヒーブログ

運動不足でお腹まわりが気になるあなた。脂肪肝ではないだろうか。

ところが、うれしいことにコーヒーを毎日飲むことで脂肪肝の発生を抑えられるという。

 脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が多く蓄積された状態のこと。
肝臓に占める中性脂肪が全肝細胞の30%を超えて溜まった状態を脂肪肝と呼ぶ。
健康な肝臓と脂肪肝の写真を見比べると一目瞭然だ。
脂肪肝の白い部分は中性脂肪である。 脂肪肝の原因は、運動不足とカロリーオーバー。

食べすぎや飲みすぎで肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まってしまうのだ。

脂肪肝が恐ろしいのは、心筋梗塞や狭心症などの心臓病、脳梗塞など血管系の疾患につながるから。

糖尿病、動脈硬化も含め、脂肪肝の人はこれらの病気にかかりやすい。運動不足も禁物だ。

近年は30代から40代の人に脂肪肝が増えており、過去10年間で2倍以上増加したといわれている。

コーヒーは、肝機能を改善する。

血圧を手はじめに、船津さんは次の研究に進む。三越総合健診センターの受診者たちの豊富なデータからコーヒーと肝機能の関係性を調べたのだ。
健康な成人4554人を「アルコールを飲む人・あまり飲まない人」「太っている人・太っていない人」「コーヒーを飲まない人・少し飲む人・たくさん飲む人」の12群に分けて肝機能をみた。すると、アルコールの量や肥満の有無にかかわらず、「コーヒーは肝機能を改善する」ことがわかった。(図3)

実は海外にも同じような結果の研究データがあった。アメリカでは「コーヒーを飲むと肝障害の人でも改善効果がある」、イタリアでは「コーヒーは肝硬変を予防する」というものだ。

その後、国立がんセンターが「コーヒーを多く飲む人ほど肝がんを予防する」というデータを発表。また、2013年10月に発表されたばかりの最新のメタ解析では「コーヒーを1日に3杯飲むと肝細胞がんのリスクが半分になる」という結果も得られているという。

脂肪肝の発生を、抑えるコーヒー。

前述のように、海外では以前からコーヒーと肝臓の関係について研究されていたが、当時の日本には調べている研究者がいなかった。2005年から発表しはじめた船津さんはこの分野の先駆者といえる。

肝臓の研究者として、「コーヒーが肝臓の病気にこれほど効果があるのなら、きっと脂肪肝にも効くはずだ」と考えた船津さん。ところが、海外を見ても脂肪肝とコーヒーに関する研究はなかった。ちょうどNASHが問題化しつつある時期でもあった。

そこで船津さんは健診受診者のデータを用いて、「単年度調査」と「5年間にわたるコーヒー飲量の推移」という2つの研究を実施した。
「単年度調査」は、健康な男性1612人の1日当たりのコーヒー飲量(杯数)を1999年度と2004年度で比較し、腹部超音波検査によって把握した脂肪肝との関係を統計学的に検討したのだ。

各単年度のデータを解析すると、肥満気味でコーヒーを飲む量が少ない人は、痩せていてコーヒーをよく飲む人に比べると脂肪肝が多いという結果が得られた。
つまり、肥満度は脂肪肝に関係していて、コーヒーはその脂肪肝の発生を抑えている可能性があることがわかったのだ。同時に緑茶も調べたが、脂肪肝の抑制効果は認められなかった。(図4)

コーヒーと脂肪肝の、マッチド・ペア研究。

2つめの「5年間にわたるコーヒー飲量の推移」は、正常肝から脂肪肝になった人(A群)と、正常肝のままの人(B群)の2群をつくって比較する「マッチド・ペアテスト」によって行なった。

前記の男性1612人のなかから、1999年度には脂肪肝がなかったのに2004年度には脂肪肝が認められた164人をA群とした。そして健康な人のなかから、A群164人と年齢やBMI(肥満度)、コーヒー飲量が似ている人を328人選び、B群とした。

1999年から2004年にかけて、A群とB群のコーヒー飲量の推移を比較したところ、この5年間で脂肪肝になった人は「コーヒーを飲む量が減っている」ことがわかった。もちろん、正確を期すために、飲酒量や運動量などコーヒー以外のファクターを取り除く回帰分析も行なっている。
それにより、コーヒーを飲むことは脂肪肝の発生を抑制しているだろうと結論づけた。(図5)

船津さんがこの研究成果を発表したのは2005年。ようやく最近になって「コーヒーはNAFLDを抑制する」というデータが出はじめている。

 

船津和夫(ふなつ・かずお)
公益財団法人 三越厚生事業団 嘱託医。医学博士。慶應義塾大学医学部卒業。専門は消化器(肝臓)。東京歯科大学助教授などを経て、1995年財団法人 三越厚生事業団・三越総合健診センター所長に就任。2012年6月から現職。

 血管内部の出血を止めるためにできる血栓。メカニズムが狂うと心筋梗塞などを引き起こすが、コーヒーには血栓を溶かしやすくする働きがあるそうだ。

日本人の死因でもっとも多いのは悪性新生物(がん)で、第二位は心疾患だ。
2013年は年間19万7000人が亡くなっている。
第三位は肺炎。

第四位が脳血管疾患で年間11万9000人が死亡している(数値は厚生労働省「平成25年人口動態統計の年間推計」による)。 第二位の心疾患では「心筋梗塞」が、第四位の脳血管疾患では「脳血栓症」の割合が高い。つまり「血栓による病気」がかなりのパーセンテージを占めているのだ。

血栓は、血管の中(血管壁)がなんらかの原因で傷ついて出血した場合、それを止めるために生まれる。正常の場合、止血して組織の修復が終わると、体内のメカニズムによって血栓は溶かされ、血は再び流れはじめる。ところが、このメカニズムがいったん狂うとさまざまな疾病を引き起こすことになる。たとえば、血栓が心臓で起きると心筋梗塞や狭心症、脳で起きると脳梗塞、肺で起きると肺塞栓などになる。血栓は人体にとって怖い存在だ。

また、「エコノミークラス症候群」と呼ばれる静脈血栓塞栓症も血栓症の1つである。これは下肢静脈血栓症と肺血栓塞栓症の合併症で、飛行機など長時間同じ姿勢のままでいると発症することで知られている。血流が悪くなり、脚の静脈に血栓ができ、それが肺に流れ込んで血液が詰まるもの。呼吸困難や腹痛を引き起こすだけでなく、最悪の場合は死に至る。

このように、血栓はさまざまな疾病を引き起こすが、コーヒーは血栓を溶かすメカニズムに対してよい影響を与えるという研究がある。この実験に取り組んだ倉敷芸術科学大学 生命科学部教授の須見洋行さんに話を聞いた。

今回は、プラスミノーゲンアクチベーターのうち、t-PAという酵素の活性化にコーヒーが役立つという話である。

心地よく感じる食品は、t-PAの分泌を促す。

t-PAやウロキナーゼは、心筋梗塞や脳血栓を起こした患者に投与される。かつてはウロキナーゼが主流だったが、現在はより効果が高いt-PAの血栓溶解剤に置き換わっている。

発症してすぐに投与すれば、ウロキナーゼもt-PAも劇的な効果を上げるが、難点もある。発症から時間が経つと効果が薄れること、費用が高いことなどである。さらにt-PAは発症後4・5時間を超えた場合は使用が推奨されていない。

しかし、本来t-PAは体の中で自然につくられるもの。

つまり食べ物の摂取を通してt-PAの分泌を増やし、血栓症を予防しようというのだ。

須見さんは、納豆に含まれる血栓溶解酵素「ナットウキナーゼ」を発見した実績がある。

酒やコーヒーを研究しているのはその一環である。
「t-PAが減っている状態のときに分泌をほんの少し高めることで、血栓症を防げるのです」(須見さん)
心筋梗塞や脳梗塞は朝に発症することが多いが、t-PAやウロキナーゼなどの酵素は朝方に分泌が減るからだという。

また、t-PAを生み出すのは血管内皮細胞だが、須見さんは人間が「心地よいな」「いい匂いだ」と感じる食べ物を摂取したときに、t-PAが盛んに分泌されることをつかんだ。

「ブランデーを飲んでもt-PAは出ます。また、パンやお菓子を焼いたときはなんとも言えない、いい匂いがしますね。これはピラジン化合物という香り成分で、これにもt-PAの分泌を促す効果がありそうです」

実験に用いたのは、10種類のコーヒー。

今回紹介する実験の前に、須見さんはすでにブタの耳の灌流実験を通じて、ある種のコーヒーが固まった血液を溶かす活性を高めることをつかんでいたのだ。また、コーヒーの成分が血小板の凝集を阻害する(血栓ができることを防ぐ)という研究報告もあった。

*ブタの耳の灌流実験:ブタの耳は切り取った後も24時間程度生きているので、そこに物質を投与し、その影響を見る実験手法

 そこで須見さんは、生のコーヒー豆10種類の熱水抽出物がt-PAの分泌に与える影響を調べた。その結果、コーヒーの熱水抽出物はt-PAの分泌を促すことがわかった。特にブルーマウンテンや雲南、キリマンジャロなどでは水と比べておよそ29~35倍の高い数値を計測したのだ(表)。

数値が大きいほどt-PAの放出活性が高い。ブルーマウンテンや雲南、キリマンジャロはコントロール(水)と比べて約29〜35倍の高い数値を計測。コーヒーの熱水抽出物はt-PAの分泌を促すことがわかった  ※図表はすべて須見洋行教授より提供

 実験に用いたコーヒー豆は、岡山県の企業から入手したもの。それを200度で40分間焙煎し、10倍量の沸騰水を加えて1分間加熱抽出する。さらに濾過したものを凍結乾燥して得た粉末をイオン交換水(水)で0.5%のコーヒー溶液としてHeLa(ヒイラ細胞=ヒト子宮頚がん細胞)に与え、48時間培養してt-PAの分泌量を調べた。
「コーヒーはt-PAの分泌を促すだろうと予測していましたが、種類によってこれほど大きな差が出るとは思っていませんでした」

コーヒーはt-PAの分泌に効果があることがわかったが、別の側面からも調べた。コーヒーは熱湯や水で抽出するものだが、エタノールやメタノールで抽出した場合も比べたのだ。結果は、水で抽出したほうがt-PAの分泌をより促すことがわかった。
「コーヒーをアルコール類で抽出するほうがより多くt-PAを分泌するのではないかと考えていました。ところが結果は水で抽出したものがいちばんよかった。これも予想外でした」
須見さんの予想をいい意味で裏切る結果が得られたのだ。

t-PAの分泌に効果的なコーヒー。

コーヒーの中のどの成分がt-PAの分泌に効果があるのか気になるところだが、須見さんはそれもきちんと調べている。

クロロゲン酸、カフェインなどコーヒーの主要7成分を選び出してt-PAの分泌を見たのだが、いずれの成分にも活性は認められなかった。ところが、雲南とブルーマウンテンにはt-PAの分泌を促す活性が見られた(図1)。

クロロゲン酸、カフェイン、キナ酸などコーヒーの主要7成分にt-PA分泌の活性化は認められなかったが、雲南とブルーマウンテンは活性が見られた

「コーヒーの作用物質として知られるクロロゲン酸やカフェイン、キナ酸などには効果が見られませんでした。むしろ熱水で抽出したふつうのコーヒーのほうがよい結果が得られました。とても苦労した実験でしたが、報われませんでしたね」

須見さんは苦笑いするが、コーヒーの主要成分だけを取り出しても効果が得られなかったという結果は興味ぶかい。つまり、個々の成分はともかく、総体としてのコーヒーを飲んだほうが、t-PAの分泌を促すことを裏付けるものだからだ。

須見さんは、30mlに濃縮したコーヒー(雲南)を成人男女12人に飲ませて血液を測定する実験も行った。すると、2時間後の血漿からELT(ユーグロブリン溶解時間)が21・2%短縮することが認められている(図2)。

30mlに濃縮したコーヒー(雲南)を成人男女12人に飲ませて血液を測定。2時間後の血漿からELT(ユーグロブリン溶解時間)が21.2%短縮することが認められた。ただし、血液の凝固系の変化には有意差はなかった

 成分こそわからないものの、コーヒーを飲むと線溶系が高まることは明らかだった。つまり、血液循環がよくなることが期待される。

血小板凝集を抑える、コーヒーの成分。

次に、須見さんは、コーヒーが血栓をつくりにくくする効果について測定した。すると、水の凝集率65.5%に対してコーヒー(雲南)の熱水抽出成分は48%となり、わずかながら血小板の凝集を阻害する働きが見られた(図3)。

コーヒーが血栓をつくりにくくする効果を測定すると、コントロール(水)の凝集率が65.5%なのに対し、コーヒー(雲南)の熱水抽出成分は48%を示し、わずかながら血小板の凝集を阻害する働きが見られた。またコーヒーの主要成分を投与すると、特にトリゴネリンヒドロクロライドが6%、キナ酸が11%と高い阻害活性を示した

 興味を引かれるのは、コーヒーの主要成分を投与した結果だ。トリゴネリンヒドロクロライドは6%、キナ酸は11%とそれぞれかなり高い阻害活性を示している。
また、コーヒーやパンを焼いたときの香りに代表されるピラジン化合物にも、血小板の凝集を妨げる効果が見られたという。

「特に『2‐エチルピラジン』はアスピリンと同じくらいの強い活性を持つことがわかりました。アスピリンは頭痛薬などに使われていて、血液をサラサラにする効果がありますが、それを凌ぐほど強いのです。これは今回初めてわかったことで、驚きました」

これらの実験結果から、コーヒーの成分は、それ単独ではt-PAの分泌は促さないものの、血小板の凝集を抑制する効果はあることがわかった。
「コーヒーがt-PAの分泌を促すことは明らかです。結果を考え合わせると、ブルーマウンテンや雲南、キリマンジャロなどにはまた別の物質が含まれているのでしょう。コーヒーはおもしろいですね」

今回はコーヒーの種類によって大きな差が出たものの、須見さんはあまり気にしないでよいと考えている。
「今回は10種類の豆すべてを1分間抽出で統一しているからです。抽出時間を長くするとまた変わるかもしれません」

結論は、①ある種のコーヒーにはt-PAの分泌を促す効果がある(成分はわからない)、②コーヒーの成分には血小板の凝集を阻害する働きがある、という2点である。

悪いことばかりではない。血栓のもつ大事な役割。

そもそも須見さんがコーヒーに着目したのは、自身がコーヒー好きであることも一因だった。大学生時代はさほど飲まなかったが、アメリカに留学したとき、コーヒーを飲みながら雑談する文化に触れる。たとえ短い時間でも、他の研究生に交じって話をすることで、その日のコミュニケーションがとても円滑になることを知ったという。

「私の下手な英語でも、コーヒーを飲みながら話をすることで相手の反応がよくなったんです。そこで毎日飲んでいたら『コーヒーっておいしいな』と感じるようになりました。今でも毎日4~5杯は飲んでいますよ」

須見さんは、コーヒーやパンを焼いたときに出る香り成分(ピラジン化合物)やアロマエッセンスなども研究対象としている。
「インスタントコーヒーの封を切ったときにもいい香りがしますね。ああいった匂いも研究しています。香りによって狭心症や脳梗塞が予防できるかもしれませんよ」

最後に、血栓について忘れてはならないことがある。血栓はえてして悪い面ばかり強調されるが、本来は「血を固める」という大事な機能であるということだ。出血しても血が固まらなければ人は死んでしまうので、血を固める機能はとても高度なものだそうだ。血を固めるメカニズムは1秒単位で働くが、血栓が溶けるのはゆっくりと進む。そのギャップが疾病につながるのだ。須見さんはこう言った。

「強いストレスがかかると、血液の凝固機能が高まります。つまり、血液が固まらない状態とは、人体にとってある程度余裕がある状態なのです。ブランデーやコーヒーを味わいながら飲むときは、リラックスしているケースが多いはずですね。そういった余裕がある状態だからこそ、t-PAの分泌も進むのです」

ストレスがあると血栓ができやすい。ならば、やはり「リラックスしてコーヒーを飲む」という習慣をつくることが大切なのだろう。

太陽の光を浴びすぎると日焼けするが、これは紫外線のしわざだ。

コーヒーを飲むと紫外線による皮膚の炎症を抑える可能性がある

「美白」がもてはやされる今となっては信じられないが、ひと昔前まで太陽光は浴びた方がよいとされていた。近年、太陽光の浴びすぎは紫外線による日焼けやしわ、シミなどの原因となることは広く知られているし、長い期間浴びていると腫瘍や白内障などを引き起こすこともある。

 このように、紫外線は悪役のように扱われているが、一方では生きものにとってなくてはならないものでもある。外線には体内でビタミンDをつくるのを助ける役目がある。また、強い紫外線には病原菌を殺す力もあるので、洗濯物やふとんを日に干すのが「昔からの生活の知恵」として受け継がれているのは周知の事実だろう。

日本の紫外線照射量は、10年間で4~5%増加。

 紫外線を地球に届けているのは太陽光だ。太陽光には「可視光線」と呼ばれる目に見える光のほかに、「赤外線」や「紫外線」など目に見えない光もある(図1)。

 さらに、紫外線は波長の長短によってUV-A、UV-B、UV-Cの3種類に分類される。UV-Cはオゾンなどの大気層に吸収されて地表には届かない。人に影響を与えるのは、主にUV-AとUV-Bの2種類である。

 UV-Bは、そのほとんどは大気層に吸収されるものの、一部は地表に到達して皮膚や目に害を与え、日焼けを起こしたり皮膚がんの原因となる。なぜならUV-Bは遺伝子に吸収されやすいため、皮膚を構成する細胞の遺伝子を傷つけ、慢性化すると皮膚がんへの変化をもたらすのだ。

 一方、UV-Aは、その多くが吸収されることなく地表に届くため、長時間浴びた場合には健康への影響があるといわれている。

 紫外線は、季節や時刻、天候などによってその量や太陽光に占める割合が変わる。建物や衣類で大部分は遮断されるものの、特にUV-Bは大気中で散乱する性質もある。また、地表によって反射率は大きく異なり、芝生や土なら10%以下だが、水面ならば10~20%、新雪なら80%にもなるという。さらに標高が1000m上昇するごとにUV-Bは10~12%増加する。

 気になるのは、日本における紫外線の照射量が徐々に増えていること。気象庁は1990年から紫外線量の観測を始めたが、長期的な増加傾向がみられる(図2)。

 大気中に放出されたフロンガスが原因とされるオゾンホールが一時期問題になったが、日本の上空のオゾン量は1990年代初頭がもっとも少なく、その後はほとんど変化がない、もしくはゆるやかに増加している。つまり、紫外線照射量の増加はオゾン量からは説明がつかない。

 環境省の『紫外線 環境保健マニュアル2015』によると、照射量の増加には雲の量やエアロゾル(大気中に浮遊する液体や固体の微粒子)がかかわっている可能性があるという。エアロゾルについては、公害をなくすために進められた取り組みによって大気がきれいになった。つまり、紫外線を遮っていた大気汚染物質が減った結果、照射量が増えたと考えられている。

目にも紫外線が入るので、サングラスを推奨。

 このような現状では、やはりなんらかの対策が必要だ。紫外線の強い時間帯(太陽がもっとも高くなるとき=南中時)は外出を控えること、日陰をうまく使うこと、日傘や帽子の利用、長袖など体を覆う部分の多い衣服を着ること、日焼け止めをうまく用いることなどが重要となる。日焼け止めの効果は、UV-Bを防ぐ『SPF』とUV-Aを防ぐ『PA』で表示されている。

 また、近年は「目を守ること」が注目されている。実は、目から入った紫外線が体内に影響を及ぼすことが21世紀になってからわかったのだ。

 今回のマウス実験によって、コーヒーを飲むことで紫外線による皮膚の炎症や色素の沈着が抑えられる可能性があることを確かめた鈴鹿医療科学大学 薬学部 研究員の山手百合香さんは、サングラスや紫外線カットのメガネおよびコンタクトレンズの着用を促す。

「紫外線が皮膚に当たると炎症を起こすことはよく知られています。しかし、目から紫外線が入ると脳下垂体を通してメラノサイトという色素細胞の数を増やし、色素沈着の増加に関係しているホルモンであるα-MSH(a-melanocyte stimulating hormone)を活性化させることもわかったのです」(山手さん)

 実は、これを明かしたのが山手さんの共同研究者で、今回のマウス実験の指導・統括にあたった鈴鹿医療科学大学 薬学部 助手の平本恵一さん。この論文は2001年8月に朝日新聞でも掲載され、それ以来、『紫外線 環境保健マニュアル』にもサングラスに関する記述が載るようになったという。

コーヒーをマウスに飲ませたプレ実験。

 大阪市立大学の大学院で紫外線の研究をはじめた山手さんは、なぜコーヒーに着目したのだろうか。
「ここ数年、コンビニエンスストアでもコーヒーを販売するなど販路が広がってきていますよね。ならば摂取量も多くなっているはずです」

 コーヒーは人体によい影響を与えるとの論文を読んでいたという山手さん。もしもコーヒーに皮膚の炎症や色素沈着を起こす紫外線の影響を予防する効果があれば興味深いと考えたのだ。

「コーヒーに多く含まれているポリフェノールという物質自体に抗炎症作用があることは広く知られていますので、『紫外線に対する防御作用があるかもしれない』と期待を抱いていました」

 ただし、山手さんと平本さんは、コーヒーの実験は初めて。そこで、まずはインスタントコーヒーを用いてマウスでプレ実験を行なった。
「ふだん人間が飲むコーヒーを用いてマウスに塗布したり、または飲ませたりして効果があるのかを検討してみました」
 すると、コーヒーを塗布した群や飲ませた群は、塗布しない群や飲ませていない群よりも皮膚の炎症が抑制されるという結果が出た。

実験で際立ったのは、カフェ酸の作用。

 プレ実験の結果を受けて、山手さんたちはコーヒーの成分に多く含まれるポリフェノールのうち、カフェ酸(caffeicacid)とクロロゲン酸に絞り、UV-Bに関するマウス実験を行なった。

 紫外線を照射したあとの皮膚の炎症や色素沈着に関して、コーヒーの成分にどのような効果があるのか。これまで細胞レベル(*)では報告されていたものの動物実験はまだ少ない。仮にマウスで効果があれば同じ哺乳類である人間にも結びつけやすいと考えた。

 実験は、①マウスにコーヒー成分を塗る「塗布実験」、②マウスにコーヒー成分を飲ませる「経口投与実験」の2種類を行なった。
 コーヒー成分を塗る実験では、マウスに麻酔を軽くかけて毛を剃ってから紫外線を3日間照射し、各日カフェ酸とクロロゲン酸を塗った。そして5日後に背中の皮膚の炎症の変化と耳介(じかい **)表皮の色素細胞の変化を解析。比較対照群として、緑茶ポリフェノールで有名なEGCG(エピガロカテキンガレート)を用意した。

 その結果、カフェ酸、クロロゲン酸ともに皮膚の炎症を抑えた。特にカフェ酸はより効果が高いことがわかった。
「マウスに成分を塗ったのは直接的な効果を見たかったから。しかしコーヒーは飲むものですから、今回の実験のメインは経口投与と考えています」

 経口投与実験は、マウスにコーヒー成分を先に飲ませてから紫外線を当てた。飲んだあと、マウスの体内で作用するまでに多少時間がかかるからだ。塗布実験と同じように紫外線を3日間照射し、その後の5日間にわたり各成分を口から飲ませた。

 まず、皮膚の炎症の変化は図3の通り。塗布実験ではカフェ酸、クロロゲン酸ともに炎症が抑制されたが、経口投与実験ではカフェ酸のみ著しい炎症抑制を現した。

 図4は、マウスの背中の皮膚の炎症をドレイズ法(***)でスコア化し、グラフにしたもの。溶媒、クロロゲン酸、EGCGに比べて、カフェ酸を飲ませたマウス群の炎症が圧倒的に軽い(抑えている)ことがわかる。

 続いて、耳介表皮の色素沈着の変化は図5の通りである。UV-B照射後5日目のマウスの耳介表皮の色素細胞を観察すると、比較対照群に比べて溶媒、クロロゲン酸、EGCGには黒ずみ(メラニン放出の増加)が見られるけれど、カフェ酸を飲ませたマウス群はきれいな状態を保っていることがわかる。

 図6は、耳介表皮のDOPA染色による色素細胞を顕微鏡で数え、一定面積あたりの数をグラフ化したもの。ここでもカフェ酸が群を抜いてメラノサイトの増加を抑制する作用があることがわかる。

 今回の経口投与実験をまとめると、特にカフェ酸においてUV-B照射後の皮膚の炎症を抑制する作用と色素沈着抑制作用が認められるという結果となった。

 山手さんは「この結果は予想外でした」と明かす。
「カフェ酸群は、皮膚の炎症も抑制し、色素沈着も抑制するという結果が非常に顕著に出たのでびっくりしました。動物実験でこれほど明確な差が出ることはなかなかないのです」

 一方、コーヒー成分であるクロロゲン酸は、今回の経口投与実験では抑制作用は認められなかった。
「クロロゲン酸は、口から体内に入って皮膚まで到達する間に、なにがしかの変化、もしくは代謝があるのかもしれないと考えています」
 山手さんは、クロロゲン酸については、経口による皮膚への到達濃度などさらなる検討が必要だと述べた。

* 細胞レベル シャーレに表皮細胞を培養して成分をかける
** 耳介 動物の耳の、外に張り出している部分
*** ドレイズ法 1944年に毒性学者のジョン・ドレイズとジェイコブ・スピネスが考案した急性毒性試験法

「コーヒー」という飲み物としての効果。

今後、どのような研究をしていくつもりなのか、山手さんに聞いた。
「カフェ酸を投与したマウスは、メラニン色素の増加を抑えるという現象は出ましたが、なぜそれが起きているのかを解明しなければなりません」

 紫外線によってメラニン色素が増加する一般的なメカニズムおよび経緯はわかっている。そのどの部分にカフェ酸が関与しているかを解き明かせば、現代の「美白」ニーズにもつながるヒントが得られるかもしれない。今回の実験の続きはぜひ進めてほしい。

 平本さんは1日にコーヒーを約3杯、猫舌の山手さんは朝と夜、アイスコーヒーを2杯は必ず飲む。今回の実験にあたり、コーヒーの成分をあらためて調べて驚いたそうだ。「コーヒー豆にはいろいろな成分が含まれているのですね。糖類やアミノ酸、脂質まで入っていました」と山手さんは言う。

 今回、マウスに飲ませたコーヒーの成分は、メーカーや製品によってばらつきはあるが、一般的な数値で見ると人間が飲む20杯ほどに相当する。平本さんは「『量が多い』と感じるかもしれませんが、自然界の食物全般はさまざまな物質や細胞がミックスしたことの効果のようなので、いろいろなものが混ざり合って構成する『コーヒー』という飲み物で効果があると考えた方が自然ですね」と話している。

コーヒーのおいしさを余すところなく味わえるのがここでご紹介する「おすすめの味わい方」。

自由に飲むのも楽しいけれど、時にはこういう飲み方も試してみては?

 

最初のひと口はブラックで

新鮮な品質の良い材料を使って上手に抽出した、いれたてのコーヒーは、どことなく青臭い感じがします。この青臭さが「グラス」。標高の高い産地で採れるコーヒー豆のみがもつ、貴重な味のひとつです。
最初のひと口は、ぜひ、この「グラス」を確かめてみてはいかがでしょうか。また、コーヒーの苦みは砂糖で、酸味はクリームで中和することができます。
クリームはコーヒーを引き立て、コクのあるまろやかな調和のとれた味をつくりだす役目も持っていますので、ブラックで飲んだあと砂糖を入れて一口味わい、最後にクリームを加えて味の変化を楽しんでみてください。

カップに注ぐ適量は

カップの適量は7〜8分目。ついつい、カップにはたっぷりと注いでしまいたくなるものですが、そこは抑え目にするのがマナーです。カップを手にしたとき、ちょっとゆれてもこぼれないための心くばりです。

受け皿は上手に活用

喫茶店やレストランなど、テーブルが前にある場合はカップだけを持っていただきますが、立食パーティなどでテーブルが離れている場合には受け皿を持ちながらいただきましょう。
そしてさめないうちにいただくことも大切。熱くておいしいうちにいただくことは、何より上手な飲み方であり、マナーなのです。

 

  • お世話になっておりますMarron’sCoffeeの山領です。
  • 当店の焙煎は、炭火自家焙煎で深煎りです。
  • ★焙煎のレベル
  • フルシティロースト (Full City Roast)
  • MarronsCoffeeは基本このレベルです。
  • 酸味はほとんど影を潜め、苦味とコクはピークとなります。

 

  • イタリアンロースト (Italian Roast)
  • MarronsCoffeeのビターとついている商品はこのレベルです。
  • 豆の色は濃く、表面にオイルが浮いてきます。

 

  • ★豆の挽き方
  • ご注文時にお手持ちの抽出機器に合わせ対応します。
  • 下記を参考にして下さい。
  • 極細挽き (エスプレッソ、ターキッシュ用)
  • 粉状で主にエスプレッソに使われる。通常は家庭用エスプレッソメーカー用にてお挽きいたします。

 

  • 細挽き (サイフォン・水出しコーヒー)
  • サイフォン珈琲は高温で短時間で抽出する ために細挽きがよい。(焙煎はミディアムOrハイ) 中挽きだと短時間では成分が出にくく フラスコ上部での粉とお湯の接触時間が 長いと美味しくない成分まで抽出されることがある。水だしコーヒーの場合ガラスボールなどがつながった一滴ずつ落ちる滴下式タイプの水出しコーヒー器の場合はこちらの細挽きをお選びください。
  • 中細挽き (ペーパードリップ、コーヒーメーカ−)
  • ハンドドリップやコーヒーメーカーのペーパードリップの挽き方になります。市販されている珈琲はほとんど中細挽きです。 (グラニュー糖と同じくらいんぼ粒度)ペーパードリップの場合はこちらの中細挽きか中あら挽きになります。抽出効率やコーヒー粉の膨らみなどすべて理想的になります。
  •          MarronsCoffeeの珈琲
  • 新コロンビア1-2新マンデリン1-2新キリマンジャロ1-23新ブラジル1

 

 

 

 

 

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