1997年に世界がん研究基金が発表した、食事とがんの総括的なレビューでは「大多数の研究結果は、コーヒーおよびお茶の通常範囲の摂取では、いかなる部位でもがんとの有意な関連はないことを示唆している」と述べられています。
人間の体を構成する細胞には脂質(脂肪)が多く含まれ、これが酸素と結びつき酸化してしまいます。人間の体のサビ付きといわれる現象です。
脂質が酸化してできた「過酸化脂質」は、フリーラジカルという物質を発生し、これがDNAに影響を与え、突然変異のきっかけを作って、老化やがんの原因になると考えられています。コーヒーには強い抗酸化作用を持つ「クロロゲン酸」等のポリフェノールが含まれており、脂質の酸化を抑える働きがあることが分かってきました。
和歌山県立医科大学化学教室(当時)の岩橋秀夫教授らの研究より
実験により、コーヒーに含まれるクロロゲン酸がフリーラジカルの生成を阻害するという仕組みを明らかになりました。酸化の予防とフリーラジカルの生成の阻害という二重の防御壁で、コーヒーはがんを防ぐ可能性があります。
岐阜大学大学院医学研究科腫瘍病理学講座の森秀樹教授らの研究より
ハムスターに発がん物質だけを与えた場合と、発がん物質とクロロゲン酸をいっしょに与えた場合について、大腸がんの発生率を調査。発がん物質のみはその40%に大腸がんが発生したのに対し、クロロゲン酸をいっしょに与えたハムスターにはがんの発生が見られませんでした。なんと0%です。 肝臓がんの原因になる別の発がん物質と人間が飲むよりも薄めのコーヒーをラットに与えた実験も行われましたが、この場合も、78%のがん発生率を22%まで抑える結果が得られています。
国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部の津金昌一郎室長らの研究より
約10年間にわたる40~60歳代の男女約9万人の追跡調査によると、コーヒーを毎日飲むグループの肺がんにかかるリスクは、ほとんど飲まないグループの約半分に抑えられることがわかりました。さらに1日5杯以上飲むグループのリスクは、ほとんど飲まないグループの約4分の1であるという結果を得ています。
愛知がんセンター研究所疫学・予防部の田島和雄部長らの研究より
1988年から、病院を訪れたすべての患者さんを対象に行なった調査では、コーヒーを1日に3杯以上飲むグループは直腸がんの発生率が半減するという結果が得られました。また上部消化器のがんに関してコーヒーの予防効果が高いこともわかっています。がんにかかる確率を1とすると、男性では食道がんのリスクが0.65に、女性では胃がんのリスクが0.72に下がります。
東京農工大学大学院共生化学技術研究部生命農学部門の矢ケ崎一三教授らの研究より
がんは「増殖→浸潤→転移」という段階を経て進行していきます。これをうけ、コーヒーの成分であるクロロゲン酸が肝がん細胞の浸潤を抑制することをラット由来の培養細胞の実験によって確かめています。
この様に、沢山の研究機関より予防効果があるとの研究発表が出ています。
安心して、美味しいコーヒー飲みませんか?
参考:全日本コーヒー協会